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大地震のあとでー震災は今も続いている #engeki #sendai

私がプロデューサーとして関わる、三角フラスコが今回急きょ、4/30(土)-5/1(日)に行われる、C.T.Tsendai「特別支演会」に参加し、「いま。」という30分弱の小品を試演することになりました。

「いま。」
作・演出:生田恵
出演:瀧原弘子、小濱昭博
プロデューサー:森忠治

上演の詳細については「C.T.Tsendai公式ブログ」をご覧ください。


今回、三角フラスコが「C.T.Tsendai特別支演会」に参加することについて、文章を書きました。
以下に転載します。

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大地震のあとでー震災は今も続いている
文責:三角フラスコ|プロデューサー 森忠治

3/11(金)に東日本を襲った大地震からまもなく、50日が経とうとしています。50日近く経った今も毎日、余震が続いています。お亡くなりになった方、行方不明者の方多数、大津波が襲った地区の方は避難生活を余儀なくされ、その生活は長期化しています。

三角フラスコのメンバーは幸いなことに、直接的な被災を受けた者はいませんでしたが、私、個人は大津波によって両親を亡くしました。そしてメンバーも当たり前ですが、東日本の皆さんと同じようにあの「揺れ」を体験しました。本震の凄まじさは、ここで言葉にするのは難しいです。とても。

三角フラスコでは4月の上旬に予定していたプロデュース公演を延期としました。まだ、実施の目処はついていません。いまの仙台では劇場として使える公立文化施設が、ほぼ休館しており、だいぶ復旧の兆しが見えてきているとは言え、日本全体の社会状況もめまぐるしく変化し続け、文字どおり「先の読めない」状況の中にあります。

そんな折り、今回、C.T.Tsendai事務局の方々から、三角フラスコに「特別支演会」出演のお誘いをいただきました。三角フラスコでは何度も協議し、参加することを決めました。これまで三角フラスコは、単独でトライアウト(試演)を実施したり、プレビュー公演を行いフルスケールの作品のクオリティを高めたり、または稽古場を公開するなど、社会に向かって自分たちの作品を開いていくことを、独自に続けてきました。

今回のような形式で「試演」として作品を発表するのは、初めてのことです。では、なぜ参加することにしたのか、それは三角フラスコのメンバーもまたアーティストとして、間接的に被災しているのだと、私は考えるからです。今もまだ避難所で生活をされている方、大地震・大津波によって仕事を失った方に比べたら、それは本当に目には見えにくい被災の形です。

今回、試演する作品は「いま。」というタイトルが付きました。あの揺れを共同臨死体験として体感した劇作家・演出家・俳優は、「いま」アーティストとして何をクリエーション出来るのか。今回の作品は、そこから始まっています。そこからしか始められないのです。

あの揺れによって、引き起こされた様々なことを、生き残った私たちはこれからずっと、引き受けていかなければなりません。三角フラスコは今後も現代演劇のカンパニーとして作品をクリエーションしていく意思を持っています。しかし同時に、メンバー各人はアーティストとして、いまも血を流しています。

その傷は消えないのかもしれません。わかりません。しかし三角フラスコは、今後も活動を続けていくために、今回の作品をクリエーションすることにしました。それは、言うならば「リハビリ」のような行為です。稽古場にたって「いま。」何が出来るのか、それだけを考えて今回の作品は作られました。

本来であればこのような経緯の作品は、発表されないことも多いのかもしれません。けれど三角フラスコでは、今回あえて「C.T.Tsendai特別支演会」に参加することで、皆さんに観ていただくことにしました。舞台芸術にとって観客の視点を受け止めることは重要だと、私は考えるからです。そして同時に、これは三角フラスコに取って「回復」のプロセスの一つになるのだとも思っています。

私は、舞台芸術プロデューサーとして演劇を仕事にしています。だから、大地震や大津波といった暴力的なノンフィクションには負けたくありません。そして今後、10年以上続いていく復興の中で必ず「物語」の力が必要とされる場面が来るのだと、信じています。それはどこのタイミングなのか、今はまだわかりません。けれど、三角フラスコというカンパニーが、その時に社会に寄与できるために、今は「いま。」という作品を試演してみようと思うのです。

―三角フラスコ16年目の春に。


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by every_tue | 2011-04-28 08:31 | お知らせ